卒業旅行の変わりに選んだインターンシップ
卒業を控えた大学4年生の2月、私は1ヶ月間のインターンシップに参加するため、上海へと発ちました。「新しい環境に適応する能力をつけたい」という思いで、敢えて卒業旅行のかわりに選んだインターンでした。「これは中国語の実践経験の少ない自分に対する試練、旅行ほど楽しめなくても仕方ない…」、本当をいうとあまり乗り気ではありませんでした。
しかし1ヶ月後、私は正反対の気持ちを抱きながら空港に向かっていました。「帰りたくない」。旅行以外の滞在で、こんなふうに思ったのは初めてでした。ホテルでのインターンは、私の想像をはるかにこえて中身のある、そして楽しいものでした。
やりがいが湧いてきた仕事環境
まず何より素晴らしかったのは働く環境です。一緒に働くスタッフはみな中国人。それも自分と同世代のひとたちが中心です。これは語学留学ではなかなか得られない環境だと思います。みな日本人のインターン生を受け入れることにも慣れているので、ちょっと勇気を出して話しかけてみれば、もう次からは「ご飯食べた?まだなら一緒に行こう!」とさそってくれるのです。1ヶ月という短期間だったにもかかわらず、何人か親しい友達もでき、オフのときに一緒に遊びにいくことも少なくありませんでした。
仕事内容についても大満足でした。日本のお客様の接客が中心で、具体的にはチェックインの準備をしたり、ご用件を伺ってそれを中国人のスタッフに簡単に通訳したりしました。しかしそれだけではありません。フロントに立っていると、中国語、日本語、英語といろいろなことばでの質問がとんできます。時には頭をフル回転させながら、日本語を中国語に、英語を中国語に、と訳をする必要があることもありました。もちろん、はじめは周りのひとに頼りきりでしたが、状況が把握できてくるにつれやりがいも感じられるようになりました。
何ものにも代えがたい出会いの旅
何と言っても忘れられないのは、同じ日本からのインターン生で、ルームメイトになった方との出会いです。はじめは、「日本人と同室」ということに「中国語漬けになりきれないのでは」という不安を抱えていましたが、今ではそれで本当によかったと思っています。
いくら大好きな中国とはいえ、異国の地で働くというのはなかなか心細いものです。仕事が終わって疲れて部屋に帰ったときに、今日あったことをあれこれ話し合えるルームメイトがいることは本当に心強く、たくさん助けられました。その方の好物のマーラータンを私も大好きになり、仕事が大変だった日などは「よし、M(マーラータンの略)食べに行って元気だそっ!」と言って連れ立って食べに行きました。