日本語教育の難しさ
2006年の夏、北京での3週間のインターンシップに参加しました。受け入れてくれた会社は、社員教育の方針として中国人の社員さんの日本語教育が推進されていました。また、日本文化の理解にも力をいれていました。この方針の背景には、顧客である日本人に合わせるため、日本人への理解を深めるという意図があります。そこで私は「社員さんのジャパナイズの手助け」をすることになり、社員さんへ日本語を教えていました。
ところが、インターンを初めて1週間が過ぎたときから、授業の出席者が減り始めました。社員さんのレベルに合わないカリキュラムや授業の準備不足、読みの甘さから、人気が落ちていったのだと反省し、悔しさと、時間を割いて来てくださっている社員さんへの申し訳なさを感じました。
試行錯誤で魅力ある授業に
そこで、私は2つの工夫をしました。 まず、準備を入念にし、授業が円滑に進みさらに面白いものになるような工夫をしました。過去に受けたニュージーランドでの語学研修や、これまでの中学~大学でうけてきた毎日の外国語の授業を思い出し、自分がよかったと思う学習法やオリジナルのゲーム形式の学習法を取り入れたのです。次に課題にも工夫を凝らしました。たとえば、作文や会話のトピックを「私の家族」「私の好きな食べ物」などにしたのです。
これには、社員さんが自分のことを日本語で説明できるようにするということはもちろん、社員さん一人一人とコミュニケーションをたくさん図るという狙いがありました。他にも、提出されたレポート1枚に対して5行以上のコメントを一人一人に毎日欠かさず書くようにしました。すると、最後の送別会では、毎日授業に来てくれていた社員さんと途中から来なくなった社員さんとの日本語のレベルに明らかな差が生じていました。そして何よりも、最後の授業では社員さん一人一人が私の努力を認めて下さり、信頼して下さっているのだということを実感することができ、とても感動的な授業となりました。
諦めず前向きに誠意を持って
この体験は、誠意をもって取り組むこと、くじけずに工夫して努力しつづけることの大切さを実感させてくれました。また、私が培ってきた全てが役立ったことから、どんな体験でも無駄なことはないということを気づかせてくれました。現在のわたしの「誠意を示す」「諦めない」「好奇心を持って生活する」という姿勢に繋がっていると感じています。